加藤&パートナーズ法律事務所

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法律情報・コラム

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【最高裁判例】特許権存続期間の延長登録の可否

最高裁判所は、平成27年11月17日、先行して特許法67条2項の政令で定める処分(以下「先行処分」といいます。)を受けている特許発明につき、別途同処分(以下「出願理由処分」といいます。)がなされた場合、出願理由処分を理由とする特許権存続期間の延長登録が認められるかにつき「出願理由処分と先行処分がされている場合において、延長登録出願に係る特許発明の種類や対象に照らして、医薬品としての実質的同一性に直接関わることとなる審査事項について両処分を比較した結果、先行処分の対象となった医薬品の製造販売が、出願理由処分の対象となった医薬品の製造販売を包含すると認められるときは、延長登録出願に係る特許発名の実施に出願理由処分を受けることが必要であったとは認められないと解するのが相当である。」と判示し、初めて先行処分が存する場合の出願理由処分を理由とする延長登録の出願が認められるかについての規範を示しました。

また同判決は、実質的同一性に関わることとなる審査事項として、「医薬品の成分、分量、用法、用量、効能及び効果」を挙げ、結論として、本件における先行処分の対象となった医薬品の製造販売は、出願理由処分の対象となった医薬品の製造販売を包含するとは認められないと判示しています。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG17H5H_X11C15A1CR8000/

なお、本判決は、医薬品にかかるものですが、上記規範は、農薬等その他特許法67条2項の政令で定める処分が必要とされる特許発明についても参考になるものと解されます。

【参照条文】

特許法第67条第2項

特許権の存続期間は、その特許発明の実施についての安全性の確保等を目的とする法律の規定による許可その他の処分であって当該処分の目的、手続等からみて当該処分を的確に行うには相当の期間を要するものとして政令で定めるものを受けることが必要であるために、その特許発明の実施をすることができない期間があったときは、五年を限度として、延長登録の出願により延長することができる。

同法67条の3第1項

審査官は、特許権の存続期間の延長登録の出願が次の各号のいずれかに該当するときは、その出願について拒絶すべき旨の査定をしなければならない。

一 その特許発明の実施に第六十七条第二項の政令で定める処分を受けることが必要であったとは認められないとき。

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