加藤&パートナーズ法律事務所

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法律情報・コラム

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「米で裁判」合意無効 アップルへの訴訟日本で

iPhone(アイフォーン)などを販売する米アップルに対し、下請けの精密部品メーカー「島野製作所」(東京)が約100億円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁(千葉和則裁判長)は15日、「紛争は米国の裁判所で解決すると定めた両社間の合意は無効」とする中間判決を言い渡しました。アップルは「『紛争は米国の裁判所で解決する』との合意があり、日本での提訴は無効だ」と主張しましたが、千葉和則裁判長は「両社の合意は、合意が成立する法的条件を満たしておらず無効だ」と判断、国内での審理を決めました。

日本の民事訴訟法に従えば、本件のような管轄権の合意も有効と考えることも可能ですが、東京地裁は、法理上、裁判管轄の合意は、一定の法律関係に基づいた訴えに関して結ばれたものでない限り無効であるところ、両社の合意は『契約内容との関係の有無にかかわらず、あらゆる紛争はカリフォルニア州の裁判所が管轄する』としか限定しておらず、法的要件を満たしていないため、無効であるという主旨の判断を下しています。そして、今回の中間判決により、今後、日本企業が取引先の海外企業との紛争の際、日本の裁判所に対して、法的手段に訴えやすくなると思われます。

島野製作所は10年ほど前からアップル社に対し、ノートパソコン等に使用するアダプタのポゴピンという部品を供給してきました。しかし、同社は2012年から島野制作所が開発したポゴピンをアジアの企業に作らせ供給させはじめ、島野製作所に対し、増産を指示しておきながら、設備投資が終わった段階で一転、供給量を減らすよう指示し、納品分についても価格を減額させ返金を求めるなどしていました。これに対し島野製作所は、一旦は応じたものの2014年8月、東京地裁に特許権侵害と独占禁止法違反でアップル社を訴えていました。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASFP16H12_W6A210C1TJC000/

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