加藤&パートナーズ法律事務所

加藤&パートナーズ法律事務所

法律情報・コラム

法律情報・コラム

「緑のオーナー制度」控訴審判決 国側の説明義務違反を一部認める

国が,昭和59年から「緑のオーナー制度」と称して立ち上げていた,広く国民一般に出資を募り、若年林の持分権を譲渡してオーナーになってもらい,約20〜30年後に成長した山林を競売して得られた収益金を配当するという仕組みについて,元本割れのリスクを国が説明していなかったとして,出資者が損害賠償を求めていた訴訟の控訴審判決期日が,2月29日,開かれました。大阪高裁は,一審と同様,国の説明義務違反を一部認めました。

一審判決と異なる判断が示された点としては,平成5年6月30日までの契約については,国に説明義務違反を認め,一審判決では過失相殺が認められて損害額から3割が減額されていたものを,今回の控訴審判決では,過失割合が適用されず,出資金全額の賠償を認めました。また,一審判決と同様の判断がなされた点として,①平成5年7月1日以降の契約については説明義務違反が否定された点,②地裁提訴時点で契約から20年を経過した原告の請求を,除斥期間経過を理由に排斥した点,③地裁提訴時点で分収(競売による収益を国と分けること)から3年を経過した原告の請求を,消滅時効を理由に排斥した点,の3点があげられます。除斥期間や消滅時効期間の経過に関しては,第一審と同様の判決がなされているため,一審で請求が棄却された原告については,今回の控訴審でも請求が棄却されたこととなります。

なお,原告弁護団は,その声明で,上告を行う意思を表明しています。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG29HAV_Z20C16A2CR8000/

トップへ戻る