加藤&パートナーズ法律事務所

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法律情報・コラム

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コーポレートガバナンスコード改訂

 東京証券取引所は、平成30年6月1日、コーポレートガバナンスコードの改訂(以下「改訂コード」といいます。)に係る有価証券上場規程の一部を改正しました。なお、改訂案については、平成30年3月30日から同年4月29日にかけて意見募集が行われていました。

 改訂による主な変更点は、次のとおりです。

 第1に、改訂コード原則5-2は、経営戦略及び経営計画の策定、公表について規定しているところ、事業目標の実現のために、事業ポートフォリオの見直し及び戦略的な設備投資・研究開発投資・人材投資等が重要であること、並びにこのような経営判断のために、自社の資本コストを的確に把握すべきであることが明確化されました。また、このような事項についても、株主に対しわかりやすい言葉・論理で、明確に説明すべきであるとされました。

 第2に、改訂前のコードでは、経営陣幹部について、選任の方針・手続、個々の選任についての説明を開示し、主体的な情報発信を行うべきであるとされていましたが、本改訂によって、選任のみならず、解任についても説明の開示、主体的な情報発信を行うべきであるとされています(改訂コード原則3-1)。

 第3に、取締役会は、本改訂により、最高責任者(CEO)等の後継者計画の策定・運用に主体的に関与すること、及び後継者候補育成が十分な時間と資源をかけて計画的に行われていくよう適切に監督すること(改訂コード補充原則4-1③)、並びに報酬が持続的な成長に向けた健全なインセンティブとして機能するように、客観性・透明性のある手続に従い、報酬制度を設計し、具体的な報酬額を決定すべきであるとされています。

 最後に、政策保有株式に対する規律についても改訂されています。すなわち、上場会社は、個別の政策保有株式について、保有目的が適切か、及び保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているか等を具体的に精査し、保有の適否を検証するとともに、そうした検証の内容について開示すべきことが規定されました(改訂コード原則1-4)。これと同時に、政策保有株主から売却等の意向が示された場合には、取引の縮減を示唆することなどにより、これを妨げるべきではないこと、及び政策保有株主との間で、取引の経済合理性を十分に検証しないまま取引を継続するなど、会社や株主共同の利益を害するような取引を行うべきではないこと等、政策保有株式の被保有者側の規律についても新設されました(改訂コード補充原則1-4①・②)。

https://www.jpx.co.jp/news/1020/20180601.html

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