【目次】 1 株主総会不開催の危険 2 株主総会の基礎知識 3 株主総会の招集に関する留意事項 4 株主総会の運営に関する留意事項 ➡5 特殊な株主総会手続 6 過去の株主総会の瑕疵の治癒 |
1 書面決議(みなし決議)
書面決議(みなし決議)とは、株主総会の目的たる事項について取締役または株主から提案があった場合、当該事項につき議決権を行使できる全ての株主が書面または電磁的方法によって同意をしたときは、当該提案を可決する株主総会の決議があったものとみなし(会社法319条1項)、株主総会の開催自体を省略する制度です。
株主総会への報告事項についても同様の同意を得て省略が可能です(書面報告・会社法320条)。
通常、会社による書面決議の提案書と、株主に署名押印してもらう同意書(提案書と一体の書面を作成すればより明確です。)、さらに定時株主総会の省略の場合には計算書類・事業報告書・監査報告を同封し、株主に郵送等で提供します。
提案書には、招集通知と同様に目的事項(決議事項)、報告事項を記載します。
会社の提案と株主の同意は、電磁的方法(メールなど)によることも可能ですが(会社法319条)、その場合は提案内容に対する株主の同意が明確か否かに十分注意する必要があります。
書面決議は、株主数が比較的少なく、全ての株主から同意が得られる見込みがある場合には、検討に値する選択肢ですが、あくまで例外的な手続です。もちろん、提案書と同意書の記載内容等に不備がないか留意する必要があります。
したがって、同意が得られない(同意書の返送がされない)見込みがある場合には、通常どおり株主総会を招集し、委任状を返送してもらうことにより定足数を満たし決議を成立させるべきでしょう。
なお、後述のバーチャル株主総会を開催することも選択肢の一つとなります。
<続く>
「会社内部紛争を防止するための非上場会社の株主管理・株主対策」会社法を遵守した株主総会18-特殊な株主総会手続②-
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