加藤&パートナーズ法律事務所

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法律情報・コラム

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中外製薬の勝訴確定 後発医薬品メーカー側の上告棄却

中外製薬が自社の軟膏の製法特許を侵害されたとして,後発医薬品メーカー4社に販売差し止めを求めた訴訟の上告審判決で,最高裁は,3月24日,後発医薬品メーカー側の上告を棄却しました。これにより,特許侵害を認めた二審・知財高裁判決が確定しました。

本件では,後発医薬品メーカーの製造方法が,中外製薬の特許にかかる特許請求の範囲に記載された構成と均等なものであるかどうかが問題となりました。この点につき,特許権侵害訴訟における相手方が製造等をする製品又は用いる方法(以下「対象製品等」といいます)が特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情が存する場合には,特許請求の範囲に記載された構成と均等なものであるとはいえないとされており,本件ではこのような「特段の事情」の有無が争点となりました。

最高裁は,まず「出願人が,特許出願時に,特許請求の範囲に記載された構成中の対象製品等と異なる部分につき,対象製品等に係る構成を容易に想到することができたにもかかわらず,これを特許請求の範囲に記載しなかった場合であっても,それだけでは,対象製品等が特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情が存するとはいえない」と述べています。続けて,最高裁は,このような場合に加え,「客観的,外形的にみて,対象製品等に係る構成が特許請求の範囲に記載された構成を代替すると認識しながらあえて特許請求の範囲に記載しなかった旨を表示していたといえるときには,対象製品等が特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情が存するというべきである。」とし,本件では,そのような「特段の事情」は存在しないとし,後発医薬品メーカーの上告を棄却しました。

このような最高裁の判断は,上記「特段の事情」の判断基準をより明確にしたものといえます。

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/634/086634_hanrei.pdf

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