|
【目次】 2 株式取得の具体的方策 ➡3 事前の対策を講じている場合 ➡4 事前の対策を講じていない場合 |
3 事前の対策を講じている場合
(4)自己株式取得等に関する留意点
なお、(1)(3)において会社が株式を取得する方法を採る場合には、自己株式取得に係る手続規制(会社法156条以下)に服するほか、取得価額がその効力発生日の「分配可能額」を超えてはならないという財源規制(会社法461条1項1号、3号)が適用される。
また(2)の取得条項付種類株式を取得する場合においても、同様の財源規制が存する(会社法170条5項、461条2項)。
また、会社以外の者が株式を買い取る方法による場合であっても、いずれにせよ買取資金の確保が必要となる。
そのため、上述した事前の対策を講じていたとしても、その買取額・取得額によっては、これらの対策を実行に移せない可能性もあるため、事前の対策を講じるにあたっては、だれが株式を取得するのか、想定される買取額がいくらなのか等も踏まえ、実行可能性の高い制度設計を行うことが重要である。
4 事前の対策を講じていない場合
事前の対策を講じていない場合には、会社、支配株主、その他の第三者が、退任取締役との間で任意の株式買取交渉を行う必要が生じる。
もっとも、特別支配株主(90%以上の議決権を保有する株主)が存する場合の、特別支配株主による株式等売渡請求(会社法179条)や、3分の2以上の議決権を保有する株主が存する場合の、株式併合(会社法180条)や全部取得条項付種類株式(会社法108条1項7号)のように、各種スクイーズ・アウトの手法を用いて強制的に退任取締役の株式を取得できる場合もある。
ただし、これらの手法を用いる場合には、株主に差止請求権(会社法179条の7等)やその効力を争う訴えの提起(会社法846条の2等)等が認められている。
また、上述した各種事前の対策を講じ、事前に買取額・取得額を定めている場合とは異なり、最終的な買取額・取得額は、裁判所が決定することとなるため(会社法179条の8等)、会社の状況によっては、想定を上回る支払義務が生じる可能性もある。
以上のとおり事前の対策を講じている場合に比して、スクイーズ・アウトにより強制的に株式を取得することは、多数のリスクをはらんでおり、紛争に発展する可能性も高いことから、慎重な検討が求められる。
▼更に詳しいことをお知りになりたい方は書籍「リーガル・フロンティア 取締役の辞任と解任」(商事法務)をご覧ください。
加藤&パートナーズ法律事務所(大阪市北区西天満)では、関西を中心に会社法関係訴訟・非訟・仮処分、コーポレートガバナンスに関するご相談・ご依頼をお受けしております。



