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【目次】 ➡1 使用人兼務取締役とは ➡2 使用人兼務取締役に該当するかの判断 3 使用人兼務取締役の辞任手続 4 使用人兼務取締役の解任手続 |
1 使用人兼務取締役とは
使用人兼務取締役とは、取締役でありながら会社の使用人(従業員)としての地位も併せ持つ者をいいます。典型例として、取締役が営業部長や総務部長などの職務を兼ねるケースが挙げられます。
実務上多くの会社で使用人兼務取締役が存在しています。もっとも、監査等委員会設置会社の監査等委員である取締役や指名委員会等設置会社の取締役は、使用人を兼ねることはできません(会社法331条3項、4項)。
使用人兼務取締役は、取締役であると同時に使用人としての地位を有するため、雇用保険への加入義務や労働基準法・労災保険法の適用を受ける点等で、使用人を兼ねない取締役とは異なります。
2 使用人兼務取締役に該当するかの判断
取締役が使用人兼務取締役に該当するかどうかは、肩書(「取締役〇〇部長」など)だけで判断されるものではありません。部長や支店長といった職制上の地位があっても、直ちに使用人性が認められるわけではありません。
この点について確立した最高裁判例はありませんが、これまでに集積された下級審裁判例では、以下の各考慮要素を総合的に斟酌して判断されています。
①取締役就任の経緯
該当性は場合を分けて考えます。
・従業員から取締役に就任した場合:取締役就任が就業規則上の退職事由とされている場合、就任時に従業員分の退職金が支給された場合、従来の社内での立場や関係に実質的な変更があった場合には、使用人性を否定する要素として斟酌されます。
・当初から取締役であった(会社設立時の取締役や、設立後の会社に取締役として招聘された)場合:設立時や経営において果たした役割の重要性が重視されます。中心的な役割を担っていた場合には、使用人性を否定する要素として斟酌されます。
②取締役としての権限・業務内容
以下の要素で該当性が判断されます。
・代表権や業務執行権限の有無
・業務執行に関する意思決定や具体的な業務執行への関与の程度
・代表取締役の指揮命令下で労務を提供しているか
・勤務時間・場所の拘束の有無
・業務内容が一般従業員と同質かどうか
取締役が部長や支店長などの職制上の地位を有している場合も、これらの事情の一部として斟酌されることとなります。
③報酬の性質・水準
以下が考慮要素となります。
・使用人分の賃金と取締役報酬が区別されているか
・一般従業員と比べて高額か
・従業員から取締役に就任した場合、就任時に報酬がどの程度変動したか
④労働保険・社会保険上の取扱い
雇用保険への加入の有無なども該当性を判断する要素になります。
もっとも、雇用保険の加入は当事者において様々な理由で操作することが可能でるため、雇用保険の加入の有無のみで結論が決まるわけではなく、あくまで補足的な要素にとどまるとされています。
<続く>
加藤&パートナーズ法律事務所(大阪市北区西天満)では、関西を中心に会社法関係訴訟・非訟・仮処分、コーポレートガバナンスに関するご相談・ご依頼をお受けしております。



