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【目次】 1 使用人兼務取締役とは 2 使用人兼務取締役に該当するかの判断 ➡3 使用人兼務取締役の辞任手続 ➡4 使用人兼務取締役の解任手続 |
3 使用人兼務取締役の辞任手続
使用人兼務取締役は、取締役としての地位(委任契約)と使用人(従業員)としての地位(雇用契約)を併せ持ちますが、両者は別個の法的地位です。そのため、取締役を辞任しても使用人の地位が当然に失われるわけではなく、逆も同様です。取締役の辞任と使用人の退職は、それぞれ独立した手続が必要となります。
以下では、取締役のみを辞任する場合と、取締役と使用人の双方を退職する場合に分けて説明します。
① 取締役だけを辞任する場合
使用人兼務取締役が取締役を辞任し、引き続き使用人として勤務する場合、手続は使用人を兼ねない取締役の辞任と同様です。会社(代表者)に対して取締役辞任の意思表示を行い、その到達により辞任の効力が生じます。実務上は、辞任届の提出によるのが一般的です。
このほか、取締役辞任に伴い、退任登記や退職慰労金の支給の有無などの対応が必要となります。
② 使用人としても退職する場合
取締役を辞任するとともに、使用人としても退職する場合には、取締役の辞任手続に加えて、使用人としての退職手続が必要となります。
具体的には、会社に対して退職の意思表示を行い、実務上は退職届(または退職願)を提出するのが通常です。口頭による意思表示も可能ですが、紛争防止の観点から書面による対応が望ましいとされています。なお、取締役の辞任届と使用人の退職届は、趣旨が明確であれば一通の書面で兼ねることも可能です。
また、使用人としての退職に伴い、退職慰労金制度がある場合には、その規定に基づき使用人分の退職慰労金が支給されます。この場合、支給額や算定根拠が明確であれば、株主総会の決議は不要とされています。
4 使用人兼務取締役の解任手続
前述のとおり、使用人兼務取締役は、取締役としての地位と使用人としての地位を併せ持ちますが、両者は委任契約と雇用契約という別個の契約関係に基づく独立した地位です。そのため、会社が使用人兼務取締役を解任して退職させる場合、取締役の解任手続のみでは足りず、原則として使用人としての解雇手続も必要となります。
① 取締役の解任手続
取締役の解任は、株主総会の決議によりいつでも行うことができ(会社法339条1項)、決議要件は原則として普通決議で足ります(会社法341条)。その他、取締役の解任手続きに関する詳細は「取締役を解任する方法とその手続き」(リンク貼付)をご覧ください。
② 使用人の解雇手続
使用人の解雇には、普通解雇と懲戒解雇があります。普通解雇は雇用契約の解約の申入れであり、原則として30日前の解雇予告または解雇予告手当の支払いが必要です(労働基準法20条1項本文)。これに対し懲戒解雇は、就業規則に定められた懲戒事由に該当する場合に限り行うことができ、通常は解雇予告や退職金の支払いを伴いません。
もっとも、解雇は、普通解雇・懲戒解雇のいずれであっても、客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性を欠く場合には無効となります(労働契約法15条、16条)。裁判実務上、特に懲戒解雇については厳格に判断される傾向があり、重大な規律違反がなければ有効とは認められにくいとされています。そのため、実務では懲戒解雇が想定される事案でも、紛争リスクを考慮して普通解雇を選択したり、懲戒解雇と併せて予備的に普通解雇の意思表示を行ったりするケースも少なくありません。
なお、懲戒解雇に際しては、弁明の機会を付与することが解雇の相当性判断に影響するため、就業規則に明文の定めがない場合でも、可能な限り弁明の機会を与えることが望ましいとされています。
▼更に詳しいことをお知りになりたい方は書籍「リーガル・フロンティア 取締役の辞任と解任」(商事法務)をご覧ください。
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