加藤&パートナーズ法律事務所

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法律情報・コラム

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伊勢田道仁弁護士が担当した訴訟参加申立事件(行政事件)が判例時報に掲載されました

当事務所の伊勢田道仁弁護士が申立人(本案事件原告)訴訟代理人として担当した訴訟参加申立事件の認容決定(大阪地決平成26年1月27日)が,判例時報No.2316(平成29年2月21日号)に掲載されました。

本件は,家屋の課税台帳登録価格の適法性が問題となる抗告訴訟において,評価基準を定めた行政庁である総務大臣を,行政事件訴訟法23条1項に基づき,被告(当該評価基準に基づき当該家屋の価格を決定した市長が帰属する地方公共団体)のために参加させる旨の原告の申立てが認容された事例です。

地方税法は,固定資産課税台帳に登録すべき固定資産の価格を算定するための評価基準を総務大臣が定めることとし,固定資産の価格を決定するに当たっては,市町村長は,総務大臣が定める右評価基準に従わなければならないことを規定していますが,本案事件において,被告は,右評価基準には一般的合理性があることを前提として,これに従って決定された価格は適正な時価であると推認されると主張し,原告は,右評価基準には一般的合理性がない等と主張して争っていました。しかし原告の主張に対し,被告は,評価基準の基礎となる調査,検討資料等を保有しておらず,当該調査,検討に関する詳細な事情を明らかにすることはできないとしていました。

このような,本案における原告と被告との主張の対立の中,裁判所は,総務大臣を本案訴訟に参加させるか否かにつき,

「評価基準を定めた行政庁である被申立人を本案事件被告のために本案事件に参加させることが,その事情に通じた行政庁を訴訟に参加させ,訴訟資料を豊富にすることによって適正な審理・裁判が実現することを目的とした行政事件訴訟法23条1項所定の行政庁の訴訟参加の制度の目的に適うものと認められる」

と述べ,原告の申立てを認容しました。

判例時報によれば,原告側からの訴訟参加の申立てが認められた公刊物掲載の例は多くなく,そのような中,本決定は,固定資産登録価格の適法性が争われた事案において,原告側の申立てによる行政庁の参加が認められた事例であり,今後の裁判実務において大いに参考となるもの,とされています。

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