3 株主名簿閲覧謄写請求に対する対応
(2)対応を誤った場合の法的リスク
会社は、上記各請求拒絶事由があるにもかかわらず、請求者による閲覧謄写請求に安易に応じ、これによって会社が損害を被った場合、取締役は、任務懈怠責任を問われる可能性があります。
また、株主名簿は個人情報に該当し、拒絶事由があるにもかかわらず会社が閲覧謄写請求に応じることは、「法令に基づく」開示とは言えず(個人情報保護法27条1項1号)、会社や取締役は他の株主との関係で、個人情報漏洩による損害賠償責任(会社法350条、429条、民法709条、715条)を負う可能性あります。
他方で、請求者による閲覧謄写請求を不当に拒絶した場合には、当該株主に対して損害賠償責任を負うリスク(会社法350条、429条、民法709条、715条)や、取締役等は過料科せられる可能性があります(会社法976条4号)。
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