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【目次】 1 退職慰労金の決定方法 2 退職慰労金請求権の発生 3 退任取締役の退職慰労金支給にかかる救済 ➡4 株主総会 ➡5 事業報告 ➡6 使用人兼務取締役 |
4 株主総会
⑴ 招集通知
取締役会設置会社では退職慰労金贈呈議案を株主総会に付議する際、招集通知への記載が必要となります(会社法299条2項2号、4項、298条1項5号、会社法施行規則63条7号ロ)。
また、株主総会参考書類の交付が必要となる会社(会社法301条、302条)では、算定基準及び退任する取締役の略歴を記載する必要があります(会社法施行規則82条1項等)。
なお、取締役への一任決議を行う場合は、原則として支給基準を参考書類に記載する必要がありますが、各株主が当該基準を確認できる措置を講じている場合は、記載を省略できます(会社法施行規則82条2項等)。
実務上は、退職金規程本店に備置し、株主が閲覧できるようにする運用が一般的です。
⑵ 説明義務
辞任した取締役に対する退職慰労金贈呈議案を提出する取締役は、その金額等を相当とする理由を株主総会で説明する必要があり(会社法361条4項)、 株主の質問に対して説明義務を負います(会社法314条)。
この点、具体的な退職慰労金金額を明示する場合は、株主はお手盛りか否か合理的に判断できるため、算定基準や計算式まで説明する義務がないと考えられています。
一方、具体的な金額を明示しない一任決議の場合には、①会社に現実に確定された支給基準が存在すること、②株主への公開・周知性、③支給額がその基準により一義的に算出できるものであることなどを説明すべき義務を負うと解されています。
5 事業報告
退職慰労金は報酬等の一種と解されるため、公開会社では、当該事業年度に受けた又は受ける見込みの額が明らかになった退職慰労金額について事業報告に記載する必要があります(会社法施行規則121条5号)。
また、公開会社かつ大会社である監査役会設置会社であって、金融商品取引法24条1項に基づき有価証券報告書の提出義務を負う会社及び監査等委員会設置会社においては、取締役の個人別報酬に関する決定方針を取締役会で定め(会社法361条7項、会社法施行規則98条の5)、その内容を事業報告で開示する必要があります(会社法施行規則121条6号)。
さらに、他の役員報酬に関する決定方針を定めている場合(同6号2)や、取締役会から委任を受けた取締役等が個人別の報酬等を決定した場合にも、その旨を開示する必要があります(同6号の3)。
6 使用人兼務取締役
使用人兼務取締役の「使用人としての退職金」については、会社法361条1項は適用されません。就業規則などで支給基準が明確に定められ、使用人としての退職金と取締役としての退職慰労金を合理的に区別できる場合は、定款又は株主総会決議がなくても請求することができます。
一方で、両者を合理的に区別できない場合には、会社法361条1項が全体に適用され、定款又は株主総会決議がなければ、使用人としての退職金も請求できないと考えられます。
辞任・解任等退任した取締役の退職慰労金①
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