取締役会設置会社では、法律上、取締役を3名以上置かなければならないとされている(会社法331条5項)。
このような会社において、現任の取締役が3名しかいない状況で1名を解任すると、取締役の員数が法令又は定款の定める下限を下回ることになる。しかし、取締役は株主総会決議(選任が種類株主総会決議による場合には、種類株主総会決議)によって解任することができる(会社法339条1項、341条、347条1項)ことからして、そのような場合であっても、株主総会による解任決議自体が無効になるわけではない。
もっとも、解任後に法令又は定款で定められた員数を欠く状態を放置することは許されない。会社は速やかに後任者を選任しなければならず、これを怠った場合には過料の対象となる可能性がある(会社法976条22号)。
また、登記実務上も注意が必要である。解任登記を行うことにより取締役の員数が法定下限を下回る場合には、後任取締役の就任登記を伴わなければ解任登記が受理されない可能性がある。そのため、実務上は、解任に先立って新たな取締役を選任しておくか、解任決議と同一の株主総会で後任取締役を選任する方法が一般的である。
なお、任期満了又は辞任によって役員に欠員が生じた場合には、退任した役員は後任者が就任するまで引き続き権利義務を有する(会社法346条1項。いわゆる「権利義務役員」。)。
しかし、解任された取締役についてはこの取扱いは及ばない。解任によって取締役としての地位を失った者は、後任者が選任されていない場合であっても権利義務取締役とはならず、職務を継続することはできない。これは、解任に至った以上、会社と当該取締役との信頼関係が既に損なわれていることを前提としているためであり、辞任や任期満了の場合とは異なる点である。
したがって、解任によって取締役の員数が法令又は定款の定める下限を下回ることが見込まれる場合には、解任に先立って取締役を追加選任するか、又は解任と同時に後任取締役を選任することが望ましい。これにより、法令違反や登記手続上の支障を回避することができる。
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