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【目次】 1 補欠取締役制度の概要 2 補欠取締役の選任取消し 3 一時取締役制度の概要 4 一時取締役の解任 |
1 補欠取締役制度の概要
会社法では、将来、取締役に欠員が生じた場合や、法律又は定款で定める取締役の員数を欠く事態に備え、あらかじめ補欠取締役を選任しておくことが認められています(会社法329条3項、会社法施行規則96条)。
補欠取締役は、特定の取締役や社外取締役の補欠として選任することができるほか、複数名を選任し、それぞれの就任順位を定めることも可能です(会社法施行規則96条2項)。
もっとも、補欠取締役は、選任されたことによって直ちに取締役となるわけではありません。その選任決議は、将来欠員等が生じた時点で効力が生ずる停止条件付の選任決議と理解されています。そのため、実際に就任するまでは取締役としての地位を有しません。
2 補欠取締役の選任取消し
補欠取締役は就任前には取締役ではないため、その地位を失わせる場合であっても、「解任」という法律関係にはならず、「選任の取消し」として取り扱われます。
会社法施行規則は、補欠取締役の選任に当たり、就任前に限り一定の手続で選任を取り消すことができる旨及びその手続を定めることを認めています(会社法施行規則96条2項6号)。
実務では、この規定を受けて、「就任前は取締役会決議により選任を取り消すことができる」と定める例がみられます。これに対し、そのような定めが設けられていない場合であっても、株主総会決議によって補欠取締役の選任を取り消すことができると考えられています。
例えば、本人の事情により就任が困難となった場合、適格性に疑義が生じた場合や、社外取締役の補欠として選任された者が就任前に社外取締役の資格を失った場合などには、この制度が利用されることになります。
なお、補欠取締役は、実際に就任するまでは取締役としての地位を有しません。そのため、選任取消しは会社法339条1項の解任には該当せず、同条2項に定める損害賠償請求の対象にもならないと解されています。
3 一時取締役制度の概要
取締役に欠員が生じ、又は法律若しくは定款所定の員数を欠いた場合には、裁判所は、必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより一時取締役を選任することができます(会社法346条2項)。これが一時取締役制度です。一時取締役は、仮取締役とも称されます。
もっとも、この制度は、常に利用できるものではありません。株主総会で後任取締役を選任することが可能である場合や、退任した取締役が権利義務取締役として引き続き職務を行うことができる場合(会社法346条1項)等には、通常、一時取締役を選任する必要性は認められません。
これに対し、権利義務取締役が病気などにより職務を遂行できない場合や、株主間の対立等によって後任取締役を選任できない場合等には、一時取締役の選任の必要性が認められます。
実務上は弁護士が選任される例が多くみられます。会社内部の紛争が背景となる事件も少なくないため、裁判所は候補者の推薦を受け付けていません。
4 一時取締役の解任
一時取締役は裁判所の選任によってその地位に就くものであり、株主総会で選任される取締役とは性質が異なります。このため、株主総会決議によって解任することはできないと解されています。また、会社法にも、一時取締役の解任手続を定めた規定はありません。
もっとも、選任後に中立性への疑義が生じたり、その他職務の遂行に重大な支障を及ぼす事情が判明したりすることはあり得ます。
しかし、一時取締役の選任決定については、会社法上、不服申立ては認められていません(会社法874条1項4号)。
したがって、このような事情が生じた場合には、裁判所に事情を説明し、非訟事件手続法59条1項に基づく職権による決定の取消し又は変更を求めるよう働き掛けることが考えられます。ただし、そのような職権の発動を請求する権利が当事者に認められているわけではありません。
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