加藤&パートナーズ法律事務所

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法律情報・コラム

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株主間契約と取締役の解任②

【目次】

 1 取締役の指名権を定める株主間契約

 2 株主間契約の効力

 3 契約違反でも解任決議は当然には無効とならない

➡4 解任決議の成立を事前に防ぐ方法

➡5 解任決議が成立してしまった場合

4 解任決議の成立を事前に防ぐ方法

株主間契約に「相手方の指名権に反する解任議案には賛成しない」といった明確な義務が定められている場合には、その不作為義務に基づき、契約に反する議決権行使の差止めを求めることが考えられます。

本案訴訟では株主総会に間に合わないことが多いため、実務上重要となるのが、議決権行使禁止の仮処分です。

名古屋地決平成19年11月12日金判1319号50頁は、①株主全員が議決権拘束契約の当事者となっていること、②議決権を行使しない義務が契約上明確に定められていることを挙げ、議決権行使の差止めを認め得るとの考え方を示しています。もっとも、①を不可欠の要件とするかについては学説上争いがあり、東京高判令和2年1月22日は、必ずしも全株主が契約当事者であることを要求しない立場と理解されています。

とりわけ、合弁会社の全株式を契約当事者である2社が保有し、指名権に反する議決権行使をしない旨が明記されている場合には、仮処分によって解任議案への賛成を禁止することが有力な対応となります。

5 解任決議が成立してしまった場合

解任決議が成立した後には、まず、株主間契約違反を理由とする債務不履行に基づく損害賠償請求が考えられます。

しかし、実際には「取締役が解任されたことによって株主にどのような損害が生じたのか」を金銭的に立証することは容易ではありません。そのため、株主間契約を締結する段階で違約金等を定めていない場合には、損害賠償だけでは十分な救済とならない可能性があります。

もう一つ重要なのが、株主総会決議取消しの訴えです。

東京高判令和2年1月22日は、議決権拘束契約の内容や当事者の意思等によっては、その契約に反する議決権行使により成立した決議を取り消す余地を認めています。ただし、契約に関与していない株主に予想外の影響が及ぶことを避けるため、同判決は発行済株式の全部を契約当事者が保有している場合に限ってこれを認めています。学説上も、全株主が株主間契約の当事者である場合には、定款違反に準じて会社法831条1項2号による決議取消しを認める見解が有力です。

このため、2社のみで全株式を保有する合弁会社では、株主間契約に反して相手方が指名した取締役を解任した場合、単なる契約上の損害賠償にとどまらず、解任決議そのものを取り消すことができる可能性があります。

株主間契約と取締役の解任①

▼更に詳しいことをお知りになりたい方は書籍「リーガル・フロンティア 取締役の辞任と解任」(商事法務)をご覧ください。

加藤&パートナーズ法律事務所(大阪市北区西天満)では、関西を中心に会社法関係訴訟・非訟・仮処分、コーポレートガバナンスに関するご相談・ご依頼をお受けしております。

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