|
【目次】 ➡1 委任契約の解除と損害賠償 ➡2 不利な時期とは ➡3 損害 ➡4 やむを得ないと認められる場合 |
1 委任契約の解除と損害賠償
取締役と会社との関係には委任に関する民法上の規定が適用されます(会社法330条)。
民法上、各当事者は、いつでもその一方的意思表示により、自由に委任契約を解除することができるため(民法651条1項)、取締役は何ら特別の事由がなくても辞任することができます。
もっとも、契約の解除が相手方に不利な時期に行われた場合には、原則として解除者は相手方に生じた損害を賠償しなければなりません(民法651条2項本文・同1号)。
2 不利な時期とは
「不利な時期」とは、委任者自身又は第三者による事務処理の継続が困難となる時期をいいます。例えば、訴訟委任の途中で弁護士が辞任する場合や、相続税申告期限が迫った時期に税理士が契約を解除する場合などがこれに当たります。
3 損害
不利な時期の辞任であっても、損害賠償が認められるためには、会社に具体的な損害が生じていることが必要です。民法651条2項本文の「損害」とは時期が不当であったことによって生じた損害を指すと解されています(東京高判昭和63年5月31日)。
もっとも、実際にはそのような損害の発生や額を立証することは容易ではないと思われます。
4 やむを得ないと認められる場合
辞任にやむを得ない事情がある場合には、取締役は損害賠償義務を負いません(民法651条2項但書)。
解除者が受任者である場合の「やむを得ない事由」の典型例は、自身の疾病、委任者の不誠実な対応等が挙げられます。
▼更に詳しいことをお知りになりたい方は書籍「リーガル・フロンティア 取締役の辞任と解任」(商事法務)をご覧ください。
加藤&パートナーズ法律事務所(大阪市北区西天満)では、関西を中心に会社法関係訴訟・非訟・仮処分、コーポレートガバナンスに関するご相談・ご依頼をお受けしております。



