加藤&パートナーズ法律事務所

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法律情報・コラム

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新型コロナウイルス感染症対策と株主総会③(バーチャル株主総会)

はじめに

 本稿を始めとする一連の記事においては,新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から,企業の皆様が令和2年度の定時株主総会において,直面しうる問題点とそれに対する対応の一例を簡単にご紹介致します。企業の皆様の株主総会対応の一助となれば幸いです。

 本稿では,株主総会の開催方法の一つとしてバーチャル株主総会による方法をご紹介致します。

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参加型バーチャル株主総会の実施の検討

 定時株主総会を延期せずに開催するとしても,新型コロナウイルス感染症の感染リスクに鑑み,現実に会場に出席する方法のみならず,インターネットを利用した株主総会への参加,出席の方法をも検討したいところです。現行法上,インターネットを利用して株主を株主総会へ参加してもらう方法としては,参加型バーチャル株主総会と出席型バーチャル株主総会の2種類の方法があります。

 参加型バーチャル株主総会とは,株主総会の中継動画をウェブサイト上で配信するなどして,株主総会の会場に来場しない株主に対して株主総会の様子を視聴してもらう方法をいいます。

 この場合,株主総会の会場に来場しない株主は,株主総会の様子を視聴するのみで,質問権の行使,議決権の行使等はできません。そのため,参加型バーチャル株主総会により株主総会の様子を視聴する株主は,会社法上株主総会へ「出席」したものとはいえない点に留意する必要があります。


出席型バーチャル株主総会の実施の検討

 出席型バーチャル株主総会とは,株主総会の会場に来場しない株主も,来場株主と同様に,株主総会において質問権の行使,議決権の行使等ができるような体制により実施する株主総会のことをいいます。

 出席型バーチャル株主総会の実施の際には,会場に来場しない株主が株主権を行使するため,予め体制を整えておく必要があります。まず,株主からの質問への対応方法としては,テキストチャットでの質問の受付や,ビデオ通話等による口頭での質問の受付等が考えられます。また,会場に来場しない株主がその場で議決権を行使し,それを正確に集計することが可能なシステムを確立することも必要です。

 出席型バーチャル株主総会は,会場と株主との間で情報伝達の双方向性と即時制が確保されている必要があるため,株主総会の開催中に,通信障害が発生し,株主が審議や決議に参加できない事態が生じないよう,対策を講じておく必要があります。経済産業省「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド」では,企業が,株主に対して通信障害のリスクを事前に告知し,かつ,セキュリティ対策を導入するなど,通信障害防止のための対策を講じていた場合には,通信障害が発生して株主が審議や決議に参加できない事態が生じたとしても,決議方法の法令違反として取消事由に該当しないとの解釈がなされています。


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