【目次】 1 名義株とは何か 2 名義株解消の必要性 3 名義株の帰属 ➡4 名義株の存否に関する調査 5 名義株か否かの調査 6 解決策 |
名義株の存否ついては、以下のような手順で調査を実施することが考えられます。
Ⅰ ヒアリング
はじめに、関係者に対するヒアリングによる調査です。また、以下の調査により判明した事実を踏まえ、さらに追加で対象者を広げるなどしてヒアリングを行うことも重要です。
Ⅱ 会社設立年月日の確認
次に、会社設立年月日を確認です。平成2年改正前商法下(平成2年改正商法の施行日は平成3年4月1日)では、設立時の発起人を7人以上としなければならない旨の規制がありました。
かかる発起人規制のために、平成2年改正前商法下で設立された会社では、名義株を作出されることがありましたので、同法下で設立した会社であるか否かを確認する必要があります。
Ⅲ 原始定款の確認
原始定款には、設立時の発起人の記載があるため、上記平成2年改正前商法における発起人規制により、設立時に形式的に株主となった者がいないかどうかを確認することが考えられます。
Ⅳ 株主名簿、同族会社等の判定に関する明細書の確認
株主名簿が作成されている場合、株主名簿を追うことで、これまでの株主の変動が明らかとなります。
株主名簿がない又は株主名簿のみでは不十分な場合は、同族会社等の判定に関する明細書を確認することで、株主の変動を明らかにすることも可能です。
Ⅴ 株券の占有者の確認
株券発行会社であり、現実に株券が発行されている会社においては、株券の占有者を確認することも重要です。
株券の占有者には当該株券の株式について権利推定が働き(会社法131条1項)、株券の善意取得者は株式についての権利を取得する(同条2項)等と定められています。そのため、現実に株券を発行している会社においては、名義人が株券を占有していない場合、当該名義人の株式が名義株であることが強く疑われます。
もっとも、会社が株主の代わりに株券を保管している場合や、会社が株主全員分の株券を占有しているような場合には株券の占有者により名義株であることを裏付けることは困難でしょう。
<続く>
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