加藤&パートナーズ法律事務所

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法律情報・コラム

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「会社内部紛争を防止するための非上場会社の株主管理・株主対策」譲渡制限株式1-譲渡制限株式の落とし穴

【目次】

1 譲渡制限株式の落とし穴

 2 譲渡制限株式を譲渡する手続

  Ⅰ 手続の流れ

  Ⅱ 譲渡等承認請求・買取請求

  Ⅲ 承認・不承認の決定

  Ⅳ 不承認通知の期間制限と「みなし承認」

  Ⅴ 買取の決定

  Ⅵ 買取通知・供託証明書の交付の期間制限と「みなし承認」

  Ⅶ 売買価格の協議

  Ⅷ 裁判所による価格決定

1 譲渡制限株式の落とし穴

譲渡制限株式とは、譲渡により株式の取得について株式会社の承認を要する旨が定款に定められている株式です(会社法2条17号)。特に同族会社等の閉鎖的な会社において、好ましくない者に株式を譲渡される事態を回避する目的があります。

実際、日本の中小企業の多くは、定款において全株式について譲渡制限の定めを設けていますが、譲渡制限株式には以下の落とし穴があります。

譲渡制限株式について譲渡を不承認とする場合には、会社または会社が指定する買取人において当該株式を買い取る必要があり、そのための資金準備をごく短期間で行わなければならないこと

手続自体が、複雑かつ厳格な期間制限を伴うものである上に、その手続がきちんとできなかった場合には、「みなし承認」として、譲渡を承認したと同じ法効果が生じてしまうこと

そのため、資金面等事前の備えが不足している場合や、弁護士への相談・依頼が遅れた場合には、好ましくない者に株式を取得される危険があります。

万一、会社側(会社あるいは経営陣)に対して対立的なスタンスをとる第三者や、少数株主権の行使に意欲的な第三者に株式を取得された場合には、株主対応に多大な費用や時間がかかる可能性もあります。

このようなリスクを回避するために、次の記事で解説する譲渡制限株式に関する手続を把握し、それを踏まえて有事に備えることが重要です。

<続く>
「会社内部紛争を防止するための非上場会社の株主管理・株主対策」譲渡制限株式1-譲渡制限株式の落とし穴

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